天使を神秘的な創造物としてではなく、人の魂を形象化した中間物として扱ったパウル・クレーの批評本。
目次:
1. 内的な天使への変容 – 導入
天使体験
線上の幸福
初期の天使たち
2. 同伴者として
はじまりの天使
危機の天使
なぐさめの天使
3. 最後の天使
変容への希望
クレーの天使。彼の想う天使は嘘を知らないから本当を知らない。愛を知らないから、疑うことを知らない。いつも泣いたり笑ったり忘れたり。実際はそれが魂の真なる部分で、ぼくらはそれを脚色して演技に没頭して生きている。長い長い一度切りの舞台。誰かの記憶の隅っこにその残滓は残り、その誰かが死んでなにもなくなる。そんなことを考えていたら、それはありふれた話だと、ぼくの中の天使が笑った。
(by Ciack Allan Boe)