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[和書] アンダーグラウンド(村上春樹)

(最終章「目じるしのない悪夢」だけを読んだ。他は以前途中まで読んで、そのまましおりが固着した。)

ずいぶん書きづらそうだ。しかもムリに一般人の内奥にあるであろうオウム的要素を掘り出そうとしているせいで、コンテキストに歪みが生じている。あんた小説家だろ。フィクションを読ませてくれよ。説得力のないこんな文章いらない。だいたい小説的な歩み寄りの手法で、自分の正当性に読者を誘導できる筈がなかろう。シリアスさに欠けるんだよ。釈然としない独り善がりな旋律が終始耳障りだ。

今回はじめて、いややっとと言うべきか、村上を嫌うタイプの人の気持ちを理解できた。これはかなりおおきな収穫だ。

ref

事件当日、惨状となったその場所を通過する 60分前の丸ノ内線に乗っていた。
新聞配達で都会での生計を立てていた俺が寄宿舎に帰ると「明日お前んとこも配達するのかと思ったよぜ」と同期の連中に言われた。
意味がわからなかった。
この時まで事件を知らなかったのだ。
事件を素通りしていた俺には、まわりの興奮具合の方がよっぽどおそろしかった。

翌朝、朝刊の準備を始めるためにいつもどおり2時半に起床し営業所に行ったが、新聞が俺たちに届いたのは7時過ぎだった。

それから毎朝4時までに届けることを契約の条件としていた豆腐屋のおやじに叱られた。
「るせーな。他取れよ」と挨拶をして営業所に戻ったら、今度は所長に叱られた。
おやじのカドで豆腐ぶち壊してやろうと思った。

これが俺のサリン事件。

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