思沢川(おもいざわがわ)、
大して期待せずに蛍見に嫁を連れて行った。
竹でできた燈篭に照らされた道をしたしたと歩き、
辿り着いた鬱然とした竹林の上空をふと見遣る。
すると、宵の口の帳から一斉に星屑が零れ落ち、躍り、舞う。
Luciola cruciata
中空にすべる軌跡はさながら音のない花火のようで、
そのせいか、いつの間にか耳に神経を集中してしまっていることに気付く。
Luciola cruciata
蟲の発光器官が描く光の線にロマンチックになる自身に苦笑しながらも、
それでもなにか煌びやかなものがあるのじゃないかと捜してしまう。
なるほどたかが光る蟲の飛翔じゃないわけだ。
Luciola cruciata
嘆息と歓声があちこちから聞こえて来る中、
実際、俺はと言えば、
蛍よかきらきらはしゃぐ嫁の顔ばかり見ていたがよ (・∀・)v
∵ すぐはぐれやがるから。
ref.
◇ はぐれぼたる(伊那市高遠町)、2006/6/25