燈籠祭の風趣ある雰囲気に惹かれて
今年もなんとなくふたりして街を歩く
堤燈はまるで赤色巨星のように街の上を漂う
ながせのおかんやガス屋のおとん
知った顔を見ては心綻びながら挨拶を交わす
通りすがりのおばあが氏神様の話をしていく
これは街の祭りなのだと
当たり前のことに感心する
三味線の音に人影が紛れてしまいそうなほどに
ひっそりとした空気が秋風を運ぶ
暦の上じゃうんざりするほどに長すぎた夏だというのに
振り返るとなにもせずに過ごしていた気がするし
ブログを読み返せば人並みに充実していたようにも思える
今年やり残したこと、来年はなにをしようか
歳を取るごとにそういったすべてが瑣末でどうでもよくなった
なりたいようになれずに
迎えたくもなかった凡庸な人生をつとつと消費して
いっそこの雅楽の音に紛れてすっと消えてしまいたくも思うが
みっともなくもここにしがみついている
涼しさを越え始めるこの季節
嫁と手を繋ぎ
こいつのことだけ見られればそれでいいかと
感謝しているのか、諦観しているのか
とっくに自分のことなんぞ理解できなくなってはいるが
当たり前のように俺を置いてカレンダーはもうすぐ冬を迎える
肌のちりちりと痛むあの感覚は
それほど嫌いじゃない
来年の今ごろも
また同じことを考え
同じように季節の移ろいを眺めるのだろう
年年歳歳、俺の成長はずっと止まったままだ
ただ繰り返し、繰り返す
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◇ 2006/9/23、燈籠祭(とうろうまつり)